hasuhana.blog

『・・・あすこの島にはね、海岸があるだろう、
そこに白い砂浜がずうっと端まで続いていて、
満月の夜　そこに立っていてごらん、
月影を浮輪にして、うさぎがぷかぷか浮いているからね。

それを我々は”うみうさぎ”と呼ぶことにしたんだ』

――うみうさぎ・・・ですか？

『そう、海に住んでるうさぎはみんな”うみうさぎ”さ。
山に住んでるのもいる。それは”やまうさぎ”だ』

――・・・じゃあ、海でも山でもないとこに住んでるうさぎは
何と云うんですか。

『そりゃ君、”うみでもやまでもないとこうさぎ”だよ』



そう云うと先生は、コーヒーカップから立ち昇る香ばしい湯気をくんくん嗅ぎながら、
コーヒーの湯気でヒゲがしっとり濡れてくるのを、楽しんでいるようすでした。

[0回]