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どんぐりうさぎ

『…山を歩いていますと どんぐりがたくさん落ちていたので
僕は1つ拾ってポッケへしまいました。

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するとどこからかうさぎが一匹 現れて
こちらをじっと見ています。

僕は こんにちは とうさぎに挨拶しました。
うさぎも こんにちは と返してくれました。
そして申し訳なさそうに、 それは僕のどんぐりなんです、と云いました。



僕はさきほどポッケへ入れたどんぐりを手のひらに出して、それはすまない、と言ってうさぎに返しました。

そしてまた僕は、他の落ちているどんぐりを拾いました。
しかし今度もうさぎは、それは…と云いましたので、少し僕が困った顔をしますと、
うさぎは上を見上げて、このどんぐりの木は、僕のどんぐりの木なんです、と云いました。

僕は今ではどうしてもどんぐりが1つほしくなっていたので、うさぎに、これを1つ僕にくれませんか とお願いしてみました。
するとうさぎは嬉しそうに頷いて、どうぞ、と云いました。
僕はうさぎにお礼を言って、山をおりました。

また別のある日、僕は山へ行くと、いつの間にかまたあのどんぐりの木の下へ来ていました。
するとまるで僕を待っていたかのように、うさぎがひょこっと顔を出しました。

僕はまたうさぎにこんにちはと言い、うさぎもまた僕にこんにちはと云いました。

今日はもうどんぐりは1つも落ちていませんでした。
きっとうさぎが全部拾ったのだと僕は思いました。
うさぎが 今日はもうどんぐりはないんです と云って、少しすまなそうにするので、僕は どんぐりはこないだもらったのでもういいんです、と言いました。

するとうさぎは、代わりに今日はこれをあげます と云って、大きなきのこをくれました。



これは食べるきのこではありません、でもきっと大切にしてください、そしたら来年の秋もきのこがここへ案内してくれます、とうさぎは云いました。
僕は きっと大切にします、と約束して、うさぎと別れました』
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